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高校選手権への挑戦~part2「メンタル」~

 抽選会後にチームに伝えたことは、「前からボールを狩りにいこう」「前線からプレスをかけて高い位置でボールを奪おう」「相手にボールを持たれる事を恐れるな」である。そして新しいシステムの導入。そのためにも、試合経験が必要となってくる。前線からのプレッシングを整理していく2週間とした。選手権までに残された試合は、公式戦2試合と練習試合2試合である。この4試合の中でいかに戦術を整理し、また落とし込んでいくか。さらにはメンバー選考していくかが大切となる。

 

 迎えた9月8日のリーガ・スチューデント東海の帝京可児戦。この試合に関しては前々回に書かせてもらったが、情報漏洩ということを考えて大会終了まで伏せていたことがある。それは、3年生全員をスタメン起用したことである。「この至学館で成長してきたものを見せてほしい。そして、控えに甘んじていても手を抜かず努力を続けている選手達に出場機会を」という思いからだ。そして、3年生は見事に起用に応えた。もちろん個のレベル差や戦術理解不足の中での一瞬の隙で失点してしまったが、初めてやる戦術・初めてやるシステム・初めてやる組み合わせなどなど、初めて尽くしに対してしっかりと対応し、帝京可児と戦ってくれた。さすが3年生という経験値の高さを見せてくれた。

 

 

 翌週には県リーグ第4節の安城学園戦。中野先生からは「至学館とは安城学園がベストの状態でやりたい」と昔から変わることのない最大限のリスペクトのお言葉をいただき、この選手権前の開催となった。もちろん至学館もベストで応えなくてはと考える中で、思い切って前試合(帝京可児)でチャンスをつかんだ選手達を起用する事とした。前試合と同様のメンバー、布陣で挑んだ。帝京可児戦で見せたようなハードに前線から戦うプレーをして、積み上げをしていこうと。しかし、試合はまったく予想と異なる展開となる。開始早々からなぜか地に足がつかない選手たち。非常に精彩に欠いたプレーが多すぎる。早々に失点。そして立て続けに失点。原因はなにか、、、そう。この日は高校の文化祭。午前中文化祭に出席し、中抜けしてからの試合だったのである。確かに、この文化祭準備週間も含めて、普段なら気付くことに気付かず叱られるなど様子も少し違った。学校全体がお祭りモードでゆるみきっていたのである。文化祭はしっかり楽しんで、試合になれば闘志むき出しと思っていたが、そうはならない高校生のメンタルの難しさを痛感することとなる。ただ、選手たちに責任はなく、そこまでの成長と自律を促せなかった指導者の私の責任である。よくよく考えれば、大人でも午前中パーティーをしてから、午後真剣勝負できるかと問われれば難しいかもしれない。それだけ難しいシチュエーションの中、選手達は戦っていたのである。

 前半だけで0-5。こちらの隙を逃さずパンチ力ある攻撃で5点を奪う安城学園はさすがである。ハーフタイムには主に「メンタルに対して」の修正し送り出す。すると後半は1-2と接戦となった。

 ただ、大敗する中でも大きな収穫が2つあった。1つは、技術・戦術・戦略以上に、「メンタル」が大切であるということを全員が再確認できたこと。2つ目は、後半は前線からのプレスが機能し、やりたいことのイメージがついてきたことである。得点も奪うことができた。それを示すかのように試合後のトレーニングマッチでは3-0と内容もスコアも良かった。なにより、今までスタメンで当たり前に出場していた選手たちが控えとなったことにより、出場した際にはスタメンを取り戻そうと今まで以上に奮起してプレーするようになった。選手権前にチーム内で良い競争が発生ししたこと、そして、私自身も含めた全員でメンタルに対する大失敗ができたことは、今後につなげるよい機会だった。

 

 2試合あった公式戦も終わり、選手権までに残された試合は練習試合が2つ。成功と失敗を繰り返しながら、チームは着実に成長し続けていた。

 

<Part3へ続く...>