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高校選手権への挑戦~最後の挑戦~

 ついに迎えた高校選手権。高校サッカー界において、高校選手権は特別な大会である。高校生の時に選手として迎える選手権。名古屋でコーチとして迎える選手権。至学館に来て監督として迎える選手戦。どの立場で迎えても緊張感に包まれる特別な大会である。今年の高校選手権もチームとしての挑戦が始まった。

 

 

 初戦の相手は椙山女学園。技術力・サッカーのポテンシャルの高い選手が多々おり、過去には全国大会の出場もある実力校だ。現在も県2部で上位につけている。試合前のロッカールーム。「自分たちのサッカーをどこまでみんながプレーできるか楽しみです。つながりを大切に、連携・連動・連続の中で相手ゴールに迫ろう。」と声を掛け、今までの試合で浮き彫りになった攻守それぞれのポイントを伝えてからゲームに送り出した。

 前半のキックオフ直後から緊張で思い通りのプレーができていない様子もあったが、徐々にペースを掴むとコーナーキックから相手のオウンゴールを誘い先制。そうなると気持ちは楽になり、れんな(2年)、きら(2年)が個の力で突破してゴールを奪い、前半を3-0で折り返す。

 後半にはチーム全員で連携・連動・連続を意識したプレーを行い、局面における優位性を作り出す。れんな(2年)、なお(2年)、みう(1年)、みらん(1年)、あんな(1年)が得点。なにより大怪我から復帰したキャプテンももか(3年)のダイナミックなミドルシュートがゴールに吸い込まれると、選手・スタッフはもちろん、多くの方々が応援に駆けつけてくれたスタンドが沸き立った。試合は9-0で勝利することができた。練習試合(豊田戦)での反省を活かし、「フィニッシュ」という課題に対してしっかりと修正することができた。チームはベスト8へ進出。次の対戦相手は聖カピタニオと決まった。

 

 

 そして、選手権準々決勝の聖カピタニオ戦。当日は朝から、試合会場の名古屋経済大学のきれいな人工芝でさえも所々水が浮いてしまうほどのドシャブリの大雨。ピッチコンディションが気になったが、今さら今までやってきたことを放棄してロングボールでゲームを組み立てるよりも、人工芝ということも考慮し、ボールをしっかり強く蹴り、雨の芝をスリップさせてボールを動かす方向に指揮をきった方が、選手はのびのびプレーしてくれるだろうと考え、今までの積み上げを大切にさせた。そしてこの試合に向けて1週間、相手のエースに仕事(得点)をさせないこと、セットプレーで失点しないこと、必ずゴールを奪おう、と意識して練習してきた。どこまでできるか挑戦となった。

 前半の立ち上がりから自陣に押し込まれる展開。個の能力の高さか光る聖カピタニオ。ただ、選手達もよくくらいついていき、攻守における連携・連動・関わりといった部分では相手に負けないレベルにあると感じるも、連続性や個のスピード・力強さに圧倒される状況。球際の対応のミスと、キックミスからの素早いショートカウンターなどから失点。前半を0-3とされる。

 ハーフタイムにピッチから戻ってくる選手の表情を見ると楽しそうに笑っている!?今まで積み上げてきたものをぶつけて戦うのが楽しいようで、ビハインドの厳しい状況の中でも、局面において通用する部分がある事に手ごたえを感じているようだ。「必ず1点を奪おう!この大会は攻撃的に行くと決めて今までやってきたのだから積み上げたものを出してほしい。そして、サッカーを楽しめ!」と声をかけ後半のピッチへ送り出す。

 後半も苦しい状況は変わらず、失点を重ねる。ただ、至学館としてやることは変わらない。自分たちの積み上げてきたものをどこまでだせるか。その挑戦が続く。0-7となったときゲームは動いた。ももか(3年)からの前線への縦パスが相手のミスを誘う。そこを逃さなかったれんな(2年)がボールを奪い突破。そして鮮やかな技ありループシュートを決めて得点。この試合に向けて頑張ってきた選手たちの思いが爆発する。(後々聞いたら、私もベンチ前で歓喜の1回転していたらしい。。。)勢いにのり、その後も決定機を作るも決めきれない。追加点なるかと思っていた後半終了間際、相手のスルーパスに反応し飛び出したGKゆうな(1年)が相手選手と交錯してしまう。決定機の阻止をとられレッドカード退場となってしまった。ただ、ゆうな(1年)に責任は全くない。GKをやっていた私だから分かる事だが、このプレーは非常に難しいプレーである。ボールホルダーの状況・受け手の抜け出したタイミング・対応に走るディフェンスラインの状況。そして何より天候(グラウンド状況)を加味すると非常に難しい。なので、よく勇気をもって飛び出したことを褒めたい。なぜならば、今後GKとして大きな成長となる価値あるプレーだからだ。しかし状況としては、もうすでに交代カードをすべてきった状態。なので急遽DFなつき(2年)にGKを託し、10人で戦う事に。ゆうなのGKユニフォームの上とGKグルーブを借りてピッチへ。突然のアクシデントに関わらずGKを引き受けてくれたなつきに感謝したい。その後、そのアクシデントをつかれて2失点。最終的に1-9で敗戦となった。

 試合後には全員で応援してくださった方々に挨拶。大会を通じて、家族・友人・先輩・後輩・学校の先生方・サポーターなどなど本当に多くの方に会場まで足を運んでいただいた。感謝の言葉しかない。そして、たくさんの人に応援してもらえる選手達は本当に素晴らしいと思う。スコアは1-9と大敗。しかし、今までの敗戦とはまったく意味の異なる試合で、「自分たちのサッカーを全面に押し出した中での挑戦」これを公式戦でトライできたことが大きい。なにより、試合に向けて練習・準備してきた3つのこと「相手のエースに仕事(得点)をさせない」「セットプレーで失点しない」「必ずゴールを奪う」を選手達は見事に達成した。試合には負けたが、自分たちの勝負には勝利した。次につながる収穫とサッカーを通じて得た多くの学びを手にすることができた。

 

 試合後の翌週月曜日、学校でサッカーノートに目をやると「至学館高校女子サッカー部に入ってよかった」「最後の試合までずっとサッカーが楽しかった」「サッカーに出会えてよかった」「苦しいこともたくさんあったし、仲間とぶつかったこともたくさんあったけど、逃げずに最後まで向き合い頑張ってよかった」「どんなときも送り迎えしてくれたお父さんありがとう」「いつも応援してくれた家族に感謝している」など、感謝の思いがたくさん綴られていた。3年生のメンバーは至学館高校女子サッカー部の目的「サッカーを通じて人として成長すること」を見事に達成したのではないだろうか。3年生はひとまずここで引退。

 

本当にありがとう。そして、次のステージでも大きく輝け!!!